下肢静脈瘤の日帰り手術Day surgery

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤とは
出典:「解剖学アトラス第2版」医学書院
足、特に膝から下で表面の静脈がこぶ状(瘤)にふくらむ病気です。 足の血管には動脈と静脈があります。動脈は心臓から足の方へ向かって血液が流れ、静脈は足から心臓の方へ血液が帰っていく血管です。 2種類の血管のうち静脈の方が働きが悪くなった結果、見た目にはこぶ状(静脈瘤)となります。また、だるさ、むくみ、こむら返りなどの症状を引き起こしたり、重症化すると皮膚炎や皮膚潰瘍ができることもあります

下肢静脈瘤かどうかのチェック

足の症状であてはまるものがあったら、下肢静脈瘤かもしれません。 ご自分の足を確認してみましょう。
足がむくむ、足が痛い
夜中によくこむらがえりがおきる
重くだるい状態が続く
主に夕方に症状がひどくなる
皮膚が硬くなってきた
血管の青い色が目立ったり、皮膚が茶色っぽく、黒っぽくなってきた
足首、ふくらはぎ、太ももの内側の血管が浮き出て見える
長時間の立ち仕事をしている
家族に下肢静脈瘤になった人がいる

下肢静脈瘤の原因

下肢静脈瘤の原因
静脈は足から心臓方向に血液がもどるための血管です。そうなるために静脈の中には血液が一方通行で心臓向きに流れるために逆流防止弁、静脈弁がついています。そのおかげで立っていても血液が、足の方へ下がらずに済んでいるのですが、下肢静脈瘤になっている方は、この静脈の弁が壊れているのが特徴です。足の静脈の一部で弁が壊れると静脈の中の血液が足の方へ下がってしまうので、普通よりも静脈が膨らんだり膝から下に余分な血液が貯まってしまいます。 静脈が壊れるのは中の圧力が上がってしまうからで、原因として最も多いのは妊娠です。妊娠中に足もむくみやすくなり血管には負担がかかる状態が続きます。そのため静脈の弁が壊れてしまうのです。出産すると、一旦は良くなるのですがその後年齢と共にだんだんと症状が出てきてしまいます。他には立ち時間が長い職業(例、調理師・理容師・教師の方)でもなりやすいです。 あとはどうしても年齢と共に血管は傷んでしまいます。年月とともに静脈に負担がかかりだんだんと壊れていき症状が出てくることが多いです。 遺伝ははっきりしないのですが、親が下肢静脈瘤であればその子供は下肢静脈瘤になりやすいです。体格や血管の強さは似るのだと思います。両親が静脈瘤だと、どの子供は80%の確率で静脈瘤になることがわかっています。

下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤の症状
まずは見た目に静脈が青く浮き出るようになります。こぶ状になって太い場合やクモの巣のように細い場合もあります。 蜘蛛の巣状(くものすじょう)静脈瘤 網目状(あみめじょう)静脈瘤 側枝(そくし)静脈瘤 伏在(ふくざい)静脈瘤 他に症状として起きやすいのは、だるさ、むくみ、血管部分の痛み、夜間のこむら返り、ふくらはぎのかゆみなどです。このような症状は他の病気でも起きることがあります。例えば心臓が悪い時や貧血でも足がむくんだり、だるくなることがあります。 下肢静脈瘤の症状として特徴的なのは、朝起きたときはわりと調子が良いけど、日中に立っている時間が長くなり午後、夕方になるとおもだるくなる、というものです。朝起きたら痛くて、動いているうちにだんだん治ってくるような足の痛みは、筋肉や関節の症状のことが多いです。また冷たい感じやしびれも下肢静脈瘤では通常はみられませんので、他の原因を考えないといけません。

下肢静脈瘤の検査

下肢静脈瘤の検査
外来受診時の診察では、まずは見た目(視診といいます)で、静脈瘤の場所や太さをみたり、静脈炎、皮膚炎がないかなどを確認します。 下肢静脈瘤は血管(静脈)が痛んでしまって起こる病気です。血管が壊れていないか確認するために超音波検査(エコー検査)を行います。超音波検査は血管が断面図で画像にみえるようになり、血液の流れも分かります。 下肢静脈瘤は静脈がこわれて逆流現象がおきるのが特徴なので、そこを重点的に観察します。検査で痛みはなく5分程度で診断できます。 超音波検査(エコー検査)について

どんな治療を行うか

こんな方は治療が必要

  • 脚が重い、だるい、むくむ
  • 脚が痛い、就寝中のこむら返り
  • 脚の血管が浮き出てきた、黒ずんできた

静脈瘤の太さや症状、それに加え患者さん自身のご年齢、持病、ご希望をお聞ききながら相談して決めるのが一番良いと思います。 見た目にひどくても何の症状もなければ様子を見ても大丈夫ですが、皮膚炎や静脈炎といった症状があれば早めの手術が必要になってきます。

5ミリ以上の静脈瘤があってだるさ、むくみなどの症状があったり、年々静脈瘤が増えてきている方

静脈瘤としては中等症で、日帰り手術が勧められます。静脈瘤の形によって高周波カテーテルやレーザーによる血管内焼灼術、静脈抜去手術、静脈結紮術など方法はいくつかありますが、3つの方法を静脈瘤の状態で組み合わせて行います。

見た目に静脈瘤はあるけども症状がない方

軽症のため手術をする必要性は低く、今後の悪化の予防のためには弾性ストッキングが効果的です。それでも静脈瘤が増えてくるようなら、その時点で手術を考えれば良いです。

5ミリ未満の細い静脈瘤で、特にそこに痛みがあったり気になる方

静脈瘤切除手術または硬化療法

下肢静脈瘤の治療

下肢静脈瘤に対応する方法として、手術、硬化療法、弾性ストッキング、日常生活で気を付けること、があります。個々の患者さんの状態に応じて組み合わせながらよりよい治療を選ぶことになります。

手術

手術
手術では下肢静脈瘤になってしまった血管を処理して静脈が瘤(こぶ)にならないようにします。全ての下肢静脈瘤の手術が日帰りで入院なしで行えます。手術にはいくつかの方法がありますが、実際には静脈瘤の状態に応じて組み合わせながら行います。

下肢静脈瘤血管内焼灼術(レーザーや高周波による治療) 手術時間 約20分

下肢静脈瘤血管内焼灼術(レーザーや高周波による治療)
下肢静脈瘤血管内焼灼術(けっかんない-しょうしゃくじゅつ)は静脈の中にカテーテルを挿入し、レーザーや高周波で熱を加えて治療する方法です。下肢静脈瘤の手術となった場合、この方法で行うことがほとんどです。 局所麻酔に加え鎮静剤で眠ってもらい熱が発生するカテーテルを静脈の中に挿入し内側から熱を加えて静脈を縮ませて血液が流れないようにします。眠っている間に手術がおわりますので手術中は痛くありません。 2011年から健康保険が使えるようになり当院でも高周波カテーテルやレーザーを使用し、健康保険の適用になります。 レーザー治療について

静脈瘤切除 手術時間 約+10分

血管内焼灼術を行うことでふくらはぎの静脈瘤は目立たなくなることが多いのですが一部残ってしまうことがあります。より静脈瘤をきれいに治すためには、目立つこぶ状の静脈瘤は3mmぐらい切開して切除してしまいます。およそ1-5カ所ぐらい追加切除します。

伏在静脈抜去術(ストリッピング術) 手術時間 約30分

伏在静脈抜去術(ストリッピング術)
伏在静脈抜去術(ふくざい-じょうみゃく-ばっきょじゅつ)は静脈瘤の原因となる血管を抜き取ってしまうという手術です。局所麻酔に加え鎮静剤で眠ってもらい手術を行います。足の付けや膝付近で、約1cmの切開を2か所行い、その間で静脈の中にワイアーを通して静脈を抜去(切除)する手術です。ふとももの静脈を通常約30cm程度抜去します。眠っている間に手術が終わりますので手術中は痛くありません。 静脈の血管特に太い場合や、浅い場合にこの手術を行うことがあります。

硬化療法

硬化療法
この治療方法は、硬化剤という薬を静脈に直接注入して治療する方法です。硬化剤(一般名:ポリドカノール)という薬を使います。薬を注入すると静脈が薬による影響をうけ(変性)、圧迫しておくと静脈の壁同士がくっつくことで治療できます。

良い点

外来通院で1回15分程度で簡単にできる。 点滴や注射と同じようなやり方なのであまり痛くない。

悪い点

太い静脈は治療できない。 期待していた程、静脈瘤が消えないことがある。 血管に沿って薄く色がついたり固くなり、治るのに数か月かかることがある。 薬を注射して1週間ぐらいはしっかりと圧迫しておかないと効果が半減します。

弾性ストッキング

弾性ストッキング
圧迫力の強いストッキングでふくらはぎを抑え込んでおく治療です。 余分な血液がふくらはぎにたまらないように圧迫しておくと静脈への負担も軽くなり、浮腫も予防できます。朝から夕方までの日中に履いておくことが最も効果があります。 足首とふくらはぎの圧迫が重要なので通常はハイソックスタイプで大丈夫です。お好みでストッキングタイプやパンティストッキングタイプを使用してもかまいません。 長い目で見ても、今後のさらなる悪化を防ぐこともできるのでとても重要です。ただストッキングははいたり脱いだりするのが大変という方もいます。そのような場合には包帯やスポーツ用サポーターで圧迫する方法も可能です。
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